自分用に、夏のフィッシングベストを作ってみたいと思います。釣り用というわけではなく、ポケットの多いベストが欲しいからです。ポケットも含めてなるべく簡単な編み方にします。
イメージとしては、下図のような外観です。デザインは前開きでも、ボタン穴が面倒なので、最後に前立てを重ねてボタンで止めてしまい、プルオーバーにしてしまおうと思います。模様編みは後身頃の中央部をガーター編みにして、フィッシングベストらしさを出してみます。
ユザワヤで買ったイタリアの糸で2〜4号針で、ゲージは24目35段と細めです。綿70麻30です。今回は4号針を使います。
まず後ろ襟の縁から編み始めます。これは、縦に編んでいきます。この縁はそのうちに前立てになるので、幅を2cmぐらいにするため、今回は6目にしました。
編針を2本並べて、下図のように8の字に糸をかけます(eight figure cast on)。これで6目作ります。出来上がったら、片側の目は別糸で休めておきます。
作り目ができたら、ガーター編みにします。数段編んだところが下の写真です。これはオモテ面です。オモテ面の最初の1目(写真中の一番右の目)は、糸を手前に持ってきて、裏編みの要領で右針を入れて編まずに滑らせます。英語では、slip stitch purlwise with yarn in front (slpwyf)といいます。こうすると端っこがきれいになります。次の目からは普通の表編みします。
予定の段数まで編んだところです。今回は84段。なぜ84段なのかは、後ほど説明します。写真の右端はslpwyfしたのできれいになっています。そして次はここから直角に、写真でいうと下側に、編んでいきます。まず、ガーター編みの畝の谷間の目を拾って、さらにそれを編みます。これを最後まで繰り返します。
途中このような状態です。下の写真はちょうど、目を拾ってこれを編もうとする前の状態です。このように1目ずつ編み進みます。
最後まで拾って編んだら、別糸に休めていた作り目に針を通し(下の写真上)、編みます(下の写真下)。これで第一段階の終了です。
次の段は、ウラ面ですが、マーカーを入れていく段(準備段)です。下図のようにマーカーを入れていきます。下図は右端しか書いてありませんが、左端もこれの対象形でマーカーを入れます。ウラ面なので身頃と肩線の目は裏編みをします。後ろ身頃の模様編み部分はガーター編みにしますが、この準備段だけは1目おきにKFBにします。つまり目数を1.5倍に増やすということです。これは、ガーター編みの畝の谷間を拾ったので目数が少なめになったのを補正するためです。
準備段が終わったら、毎段、青い矢印の位置に増し目を入れて、肩線が終わるまで編み進めます。
準備段も、そのあとの増し目段も(オモテ面もウラ面も)、最初の1目はslpwyfでやるのを忘れずに。
増し目は表編みは
KFB、裏編みは
PFBでやります。この場合、肩線の左側の増し目をした後で、左側のマーカーをずらす必要があります。
ここで、最初の後襟の縁のガーター編みをなぜ84段にしたかを下図で説明します。後襟の長さは、メジャーで首の後ろを測って、25cmぐらい欲しいと思いました。ゲージからこれは60目になります。準備段で、(両縁の6目は別として)両サイドに3目、この3目の間の目はKFBを入れて1.5倍の目数にするので、結局ガーター編みの畝の間を拾うのは3+3+36=42目になります。よってガーター編みはその2倍の段が必要ということになります。
下の写真は、数段編んだところです。今編んでいるのがオモテ面なのかウラ面なのかを間違えないようにしてください。身頃のメリヤス編みが見えてくるとわかりやすいのですが、最初の数段は見えないので気をつけてください。
肩線の両サイドで各段増し目を入れて、肩線が7cm(18段)になるまで編んだところが下の写真です。肩線をどこでやめるかですが、トップダウンでセットインスリーブを編む時の肩の位置、女性ならブラの紐がくるであろうあたり、でやめることにします。自分の寸法でいうと首の中心から17cmの位置です。編み上がったものを、後襟をややカーブさせて背中の中心から肩線の先までの寸法を測ってみるとちょうど17cmでした。なのでここでやめることにします。つまりこれで肩線は編み終わりです。そして、後身頃の幅を測っておきます。19×2=38cmでした。
ここで、胸周りの寸法を決めて、次に進みます。胸周りは100cm、襟ぐりの深さは25cmとして寸法を描くと下図のようになります。黄色い斜めの線の、増し目のピッチを概略求めます。襟ぐりは、25cm(88段)で12cm(29目)なので、3段に1度の増し目となります。脇の下は、4cm(14段)で6cm(14目)なので、各段増し目となります。増し目の位置は、前立てあるいは袖の縁の、隣の1目の隣隣とします。
さて、ここから袖を編まずに身頃だけを編んでいきます。左前身頃を編んだら、新しい糸を付けて後身頃を編み、さらに新しい糸を付けて右前身頃を編んでいきます。次のウラ面は、右前身頃、後身頃、左前身頃の順にそれぞれの糸で3つに分けて編んでいきます。輪針は1本のままです。肩線は、今回は後身頃に入れましたが、前身頃でもかまいません。
何もしないと袖口が丸まってしまうので、各段で袖口にガーター編みを3目入れます。どうやるかというと、下の写真のように、1段目を編むときに、まず左前身頃の前立てを編み終わったところで1目内側で増し目をしてから、肩線の目の手前まで編みます。そしてさらに3目作り目をします。これで左前身頃は一旦終わります。
次に、新しい糸で、後身頃の肩線の目の手前に3目作り目をして、それをさらに編み進めます。従来のマーカーを外します。下の写真はさらに数目編み進んだところです。右側の肩線の目の前後も同じようにします。
袖口の縁のガーター編み部は、前立てのガーター編み部と同じように、境目にマーカーを入れてガーター編みを忘れないようにすることと、3段目からは、編み始めをslpwyfにしてください。言葉で説明するとややこしいですが、左前身頃を編み終わって、後身頃に移るところを絵で描くと下図のようになります。
前後身頃を分けてから6段編んだところの左前身頃あたりの写真です。
肩線で折ってみるとこんな感じです。
あとは、前身頃の前立て側の隣の1目の隣に、3段おきに増し目を入れながら編んでいくだけです。次のイベントは、袖口にカーブをつけることです。袖口の高さが21cmに達したら前後身頃の袖口側に各段増し目を入れることになります。