丸ヨークLaceYokeTop(その1)


丸ヨークの問題点

「トップダウンで編み図なし」をモットーにし出してから、丸ヨークには挑んでいませんでした。どうしても、事前に増し目の入れ方を詳しく設計しないと編めないという認識だったからです。 それでは、「編み図なし」とは言えませんからね。
丸ヨークでは、増し目は、円周方向にはなるべく均等に、かつ編み進み方向(縦方向)にはある段ごとにうまく、入れないといけないので、この増し目の配置と模様編みのパターンをうまくマッチさせるには、完全に近い編み図を描くか、全段を正確な文章で表現しないといけないことになる、と思っていたのです。それともう一つ、丸ヨークでは、首の穴(襟ぐり)は円で編むしかないので、襟ぐりの前側を大きくすることができず、首がきつくなってしまうことが欠点だと思っていました。
ところが、海外のサイトをいろいろ探して、この2つの問題が解決できるとわかってきたので、いよいよ丸ヨークに挑戦してみます。

増し目の入れ方

まずは、増し目の入れ方です。トップダウンで増し目ではなく、ボトムアップで減らし目の入れ方の基本を見つけました。簡単にいうと下図のようにすると形が整うと言うことです。 

ヨークの高さの半分まで編んだら、次の1周で一気に25%減らします。これをするために、全周に渡って4目に1目の減らし目をします。次の周からは、この目数で編んで行き、ヨークの高さの75%まで編んだら今度は、次の1周で一気に33%減らします。このために、全周に渡って3目に1目の減らし目をします。次の周からはこの目数で編んで行き、希望のヨーク高さの1/2インチ手前まで達したら、次の1周で一気に40%減らします。このために、全周に渡って5目に2目の減らし目をします。そしてヨークの高さに達したら、首周りの寸法まで減らします。

ちなみに首周りは、胴周の40%、そしてヨークの高さは、胴周の25%にするといいそうです。バスト83だったら33cmと21cmということになります。

さて、トップダウンで編む場合は、この逆に増し目をしていくことにします。下図を見てください。


まず襟口の縁(ネックバンド)を編んだら、そのままの目数で1.5cm編み進み、次の周で、いきなり5目に2目の増し目を入れて目数を増やします。その目数で25%の高さまで編んだら、次の周で今度は3目に1目の増し目で一気に目数を増やして、その目数で50%の高さまで編み進みます。50%まで行ったら、次の周で一気に4目に1目の増し目を入れます。これで全周の目数が希望(図中ではA)に達していればあとはその目数で希望のヨークの高さまで編んで終了です。


丁度うまく希望通りになるとは限らないので、目数が多すぎるなら4目に1目の増し目をする周で減らして調節します。足りなければ、その周で足すか、残り50%のどこか適当なところ例えば75%の高さになったところで不足の目数を増やします。まあなるべく編みながら調節していくとすると、こうなります。


襟ぐりの前側下げ

次に、襟ぐりの前側を下げる方法ですが、下図のように、脇の下の少し上、トップダウンで編んでいる時なら、ヨークが終わるちょっと前で引き返し編みを入れて後ろ側の高さを高くします。そうするとヨークの下端を水平にした時に、襟ぐりの前側が下がります。

毛糸

では、編んでみましょう。毛糸はベルクリヤーンのエレガンテ、綿100%。ゲージは、5号針で、10cm角が22目/29段。

増し目設計

デザインは、半袖でレース模様、というか適当に穴が開いている模様にします。まず首周りを55cmと決めて目数を計算すると、55×2.2=120目。最初の増し目周(+2/5)では、120=24×5 が 7×24=168目となります。2度目の増し目周(+1/3)では、168=56×3 が 4×56=224目となります。3度目の増し目周(+1/4)では、224=56×4 が 5×56=280目となります。一方ヨークの周長は、バスト83cmとすると、これに袖周30×2=60cmを足して、143cm。目数は、143×2.2=315目となります。3度の増し目だけだと 315-280=35目不足です。これを4度目の増し目周で足します。280/35=8なので、この4度目の増し目周は+1目/8目で増し目を入れればよいことになります。
ヨークの高さは、83×0.25=21cmとして 21×2.9=61周で、1/4 はだと15〜16周になります。まず120目で1.5cm編んだあとに最初の増し目周なので、これは6周目とします。2度目の増し目周は16周目、3度目の増し目周は32周目となり、最後の増し目周は48周目とします。首周りの縁(ネックバンド)をガーター編みで4段編んだあと、上記のヨークに入ります。

模様編み

さて、レース模様ですが、下図のように6目4段で1組の模様にします。全周で、120/6=20セットしてスタートし、増し目は、かけ目や2目1度のない偶数周に配置します。上記で、6、16、32、48周目を増し目周にしたのはそのためです。増し目周をはさんでも図中の青で示した目が繋がるように、マーカーを赤の位置に入れておいて、マーカーの次の目は青の目だということがわかるようにしておきます。そうしておけばマーカーの2目手前までは何も気にせずに普通に編めます。

編み手順(模様編み部)

手順は次のようになります。
①作り目120目
②ガーター編み4周
③模様編み5周
④増し目+2/5目1周で168目
⑤模様編み15周
⑥増し目+1/3目1周で224目
⑦模様編み15周
⑧増し目+1/4目1周で280目
⑨模様編み15周
10.増し目+1/8目1周で315目

このうち⑧+模様編み2周まで編んだところが一番上の写真です。あまり綺麗な模様にはなってませんが、丸ヨークとしては順調に編めています。下の写真の黄色い線が青字の目のつながりです。
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