ホールガーメント

手編みでは、輪針を使ってトップダウンで編むと、継ぎ目なく立体的に編むことができ、縫い合わせが不要です。ニット編み機の世界では、和歌山市の島精機製作所さんが立体編みの編み機を開発し世界中に販売しています。下は、その編み機で編んだニットの登録商標「ホールガーメント」の説明です。立体編み機は、軍手の編み機から発展させた技術です。素晴らしいですね。
手編みの場合でも手袋は立体的に編みます。手首のところを襟ぐりに、親指と小指を袖に、人差し指・中指・薬指を1本にしたものを胴体にすればセーターになります。なのになぜセーターだと分割して編んであとから縫い合わせるのでしょう?まるで裁縫の世界です。裁縫は、布を織って裁断して縫い合わせざるをえませんが、編み物(ニット)には伸縮性があるので、糸から一気に立体的に編めるのに…。島精機製作所さんの編み機もそんな発想から生まれたに違いありません。
ニットなのに立体的に編まない理由の一つとして、トップダウン編みには、後ろ襟ぐりを下げられない、普通のセットインスリーブができない、というデザイン制約がある、と思われているからかもしれません。しかし、このブログで実践したように、同時に何本かの糸を使うことで、その制約をなくすことができます。つまりトップダウン編み(立体編み)にデザイン制約などないのです。
であれば分割編みと立体編みを比べていい方を取るべきです。島精機製作所さんのホールガーメントでは着心地がいい点を挙げています。書いてはありませんが縫い工程がないのですから、生産性の向上やコストダウンにもなっているはずですね。手編みの場合でも立体編みは、着心地のいい点はいっしょです。しかし手編みは「趣味」なので、編むというプロセスを楽しむところで、立体編みの利点がないといけません。
私の思うトップダウン編みの利点は次の2点です。

①寸法を測りながら編んで行けるので、ゲージは気にならない。
②デザインのポイントである襟ぐりと袖の付け根が、編み始めてすぐに現れる。

ゲージを気にしないで編めるということは、編み図が要らないということです。寸法さえ決めれば編めるという画期的なことです。また、編み始めてすぐに思い通りのものができそうかどうか判断できるのはとても嬉しいことです。気に入らなければすぐに解く勇気が持てます。

ということで、島精機製作所さんの「ホールガーメント」に負けないよう、私も「トップダウンで編み図なし」を頑張って広めたいと思います。
コメント: 2
  • #2

    篠原 (水曜日, 21 9月 2016 19:45)

    asamiさん

    コメントありがとうございます
    ブログを読んでトップダウンに挑戦していただいてとても嬉しいです
    襟からのトップダウンですが、以前にヘチマえりに挑戦したことがあります(ケーブルカーディガンLOOFAH)
    これからもトライしてみたいと思います

  • #1

    asami (火曜日, 20 9月 2016 12:05)

    こんにちは、このブログを知って、トップダウン編みをはじめました。
    わかりやすい説明に初心者でも何とか編めています。
    今、編んでるのはすべてトップダウンです。編みたいものが編み図なしで編めるのは画期的なことだと思います。ただ、襟付きのものがあまりうまくできません。襟からトップダウンで編むのですが気に入らないのです。
    今度是非、襟からのトップダウンをお願いします。